飲酒のガイドラインをご存知ですか。お酒との上手な付き合い方

新年会や忘年会、結婚式や同窓会などさまざまな場面でお酒を飲む機会があると思います。
また毎日の晩酌が生活の一部となっている方も少なくないのではないでしょうか。
ところで皆さんは「節度ある適度な飲酒量」と言われてどのくらいを思い浮かべますか?
気にせず好きなだけ飲んでいるとさまざまな病気のリスクが高まります。
今回は厚生労働省が定める飲酒のガイドラインをご紹介いたします。


推奨されている飲酒量

厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒量は1日平均、純アルコールで20グラムと推奨されています。
では、純アルコール20グラムとはどのくらいでしょうか。
瓶ビール中ビン1本/日本酒1合/チューハイ(7%)350ml1本/ウイスキーダブル1杯

一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いこと、体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても男性より臓器障害を起こしやすいことから男性の1/2~2/3程度が推奨されています。
またお酒に弱い人や65歳以上の高齢者の方も同じように少量が推奨されています。
男性では1日40グラム(瓶ビール中ビン2本)、女性では1日20グラム(チューハイ[7%]350ml缶2本)以上で生活習慣病のリスクを高めます。

日本人はお酒に弱い体質?

よくお酒に強い、弱いという言葉は聞きますがこの差はいったいなんでしょうか。
一般にお酒に強い人はアルコールの分解が速く、弱い人は分解が遅いと考えられます。アルコールは体内に入ると肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。
このアセトアルデヒドは毒性が強く(顔面紅潮、動悸、頭痛、吐き気)を引き起こします。
このアセトアルデヒドを無害な酢酸に分解するのがALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)という酵素蛋白です。
ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)には3つのタイプが存在します。
「普通に働く(分解する)[活性型]」「分解が遅い[低活性型]」「まったく働かない(分解しない)[非活性型]」

このALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)のタイプは遺伝で決まっているため変わることはありません。

日本人はこのALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の働きが弱い人が多く、日本人の約1割の人は非活性型でまったくお酒が飲めません。また日本人の約4割の人は低活性型でお酒に弱いと言われています。
つまり日本人の約半数はお酒に弱いもしくはまったく飲めないということになります。

お酒を飲む際は無理強いをせずにゆっくりと自分のペースで楽しみましょう。


飲酒のガイドライン

お酒を無理なく楽しく飲むために厚生労働省が推奨する12の飲酒ルールを守りましょう。

1.飲酒は1日平均20グラム以下

瓶ビール中ビン1本/日本酒1合/チューハイ(7%)350ml1本/ウイスキーダブル1杯

2.女性、高齢者は少なめに

中年男性に比べて女性や高齢者は飲酒量を控えることをおすすめします。

3.すぐに赤くなる体質の方も少なめに

赤くなる体質の方はアルコールの分解が遅く、がんや様々な臓器障害を起こしやすいといわれています。

4.たまに飲んでも大酒しない

飲む回数が少なくとも一度に大量に飲むと、身体を痛めたり事故の危険が増したり依存を進行させたりします。

5.食事と一緒にゆっくりと

空腹時に飲んだり一気に飲んだりすると、アルコールの血中濃度が急速に上がり、悪酔いしたり場合によっては急性アルコール中毒を引き起こします。

6.寝酒は極力控えよう

寝酒(眠りを助けるための飲酒)は、睡眠を浅くします。健康な深い眠りを得るためには、アルコールの力を借りないほうがよいでしょう。

7.週に2日は休肝日

週に2日は肝臓をアルコールから開放してやりましょう。そうすることで依存も予防できます。

8.薬を服用しているときは飲酒しない

アルコールは薬の効果を強めたり弱めたりします。また精神安定剤と一緒に飲むと互いの依存をはやめることが知られています。

9.入浴、運動、仕事前は飲酒しない

飲酒後に入浴や運動をすると、不整脈や血圧の変動を起こすことがあり危険です。またアルコールは運動機能や判断力を低下させます。

10.妊娠、授乳中は飲酒しない

妊娠中の飲酒は胎児の発達を阻害し、胎児性アルコール症候群を引き起こすことがあります。またアルコールは授乳中の母乳に入り、乳児の発達を阻害します。

11.依存症は生涯禁酒

依存症は飲酒のコントロールができないことが特徴で、断酒を続けることが唯一の回復方法です。

12.定期的に検診を

定期的に肝機能検査などを受けて、飲みすぎていないかチェックしましょう。また赤くなる体質の方は食道や大腸がんの健診を受けましょう。


昔から「酒は百薬の長」というようにしっかりと自分自身の身体を労わりながら「節度ある適度な飲酒量」を守りましょう。間違っても「酒は万病のもと」とならないように気を付けましょう。