聴力検査
聴力検査では低音領域(1000Hz)から高音領域(4000Hz)の音を用いて日常生活に必要な聴力があるかを検査します。1000Hzは日常会話の音域の代表的な音です。4000Hzは高齢化に伴い早期の聴力低下が起こる音域の代表的な音です。
聴力は加齢による低下だけではなく、突発性難聴やメニエール病などの疾患が隠れていることがあります。
突発性難聴
突然耳の聞こえが悪くなり今まで聞こえていた音が急に片方の耳で聞こえにくいという症状があります。名前の通りなんの前触れもなく突発的に起きるのが特徴です。
突発性難聴は早期発見、早期治療が非常に重要です。
メニエール病
めまいや耳鳴り、難聴を繰り返す内耳の病気です。メニエール病と聞くと「めまい」を連想される方が多いですが実は「難聴、耳鳴り、耳が詰まる」などの聴覚症状も伴います。
メニエール病は難病指定されており完全に治すことが難しい病気です。ですが早期発見、早期治療で進行を遅らせたり改善することができます。
加齢性難聴
加齢性難聴は音を感じる有毛細胞が加齢により減少します。残念ながら有毛細胞は再生しないため加齢性難聴は治りにくいといわれています。加齢性難聴は主に高音域から聞こえにくくなるため早期の段階では気づきにくいことも多いです。そのため気付いたときにはかなり進行していることがあります。
視力検査
視力検査では遠点視力を測定します。5メートル離れた距離のものをどれだけ正確に見る力があるか調べる検査です。
視力の低下には加齢、環境(労働・生活)、病気などさまざまな要因があります。
視力低下の要因:加齢
主に40代以上の方が視力低下を感じる場合は「老眼」になっていることが考えられます。加齢により目のピント調節機能が衰えるため視力の低下が起こります。回復することがほぼありません。
症状:近くの小さな文字が読みにくい。近くから遠くへ、遠くから近くへ距離の違うものにピントを合わせるのに時間がかかる
遠くを見るときは毛様体筋を緩め水晶体を薄くします。
近くを見るときは毛様体筋を縮め水晶体を厚くします。
加齢とともに水晶体の弾力がなくなり硬く、また毛様体筋も衰え縮む力が低下するため近くのものにピントが合わせづらくなります。
視力低下の要因:環境(労働・生活)
仕事でパソコンやタブレットなどを長時間使用する方は目への負担が大きくなり疲れ目やドライアイなどを引き起こします。自宅でもずっとテレビを見ていたり寝る前に暗い部屋でスマホを操作している方はさらに目を酷使している状態です。最近では年齢に関係なく「老眼」のような症状が現れる「スマホ老眼」も増加しています。
症状:目が乾く、目がかすむ、目が疲れやすい
スマホ老眼は加齢による老眼とは異なり一時的な目の疲れによって毛様体筋が凝り固まってピント調節がうまく出来なくなります。
きちんと休憩をしたりしっかり睡眠をとることで回復します。
視力低下の要因:病気
視力低下の原因となる疾患には糖尿病網膜症や緑内障、白内障などがあります。
「緑内障」
緑内障はゆっくりと見えない部分が拡がっていく病気です。片方に見えない部分があっても両目で見ているともう片方の目でカバーしてしまうため見えない部分がかなり広がるまで気付かないことが多いです。緑内障は視神経が障害されて視野が欠けていく病気です。一度視野が欠けると二度と元には戻らないため手遅れになる前に治療を行い進行を抑えることが大切です。
「白内障」
白内障とは目の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気です。白内障は加齢に伴って発生する場合が最も一般的で早ければ40歳から発症します。白内障は治療により視力を取り戻すことが可能ですが、自覚症状はありませんので定期的な検査が大切です。
進行した場合、視界が暗くなったり白っぽくかすんで見えたり、光をまぶしく感じることがあります。
「糖尿病網膜症」
糖尿病が原因で目の中の網膜が障害を受け視力が低下する病気です。糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症といわれています。初期の段階では自覚症状はありませんが目の中の血管は少しずつ傷ついています。症状が進行すると視力低下や最悪の場合失明に至ります。
少しでも気になる症状がある場合は健診結果にとらわれず専門医による診察を受けることをおすすめします。
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